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That’s welcome News No.4
編集、巻という言葉の語源は
紙がまだ普及してない紀元前中国の殷の時代には亀の甲に文字を書いて、占いに用いていました。群雄割拠する国々にはそれぞれの文字が有りましたが、漢がそれを統一して漢字が出来たのでした。糸と言う字は繭から糸を揚げる象形文字ですので、紙は屑絹を漉いた物でした。これは極少量でしたので一般には竹や木片に文字を書いて、その片を紐で簀の子の様に結び文章にしておりました。こうする事を編集と言っていたようです。それをぐるぐる巻いて持ち運びましたので、まとまった一つの文章を一巻と言うようになり、今日でも使われています。
*中国で紙が出来たのはエジプトのパピルスより古いという説も有りますが。史実では、紙の普及は後漢の時代(2世紀)に屑絹、草木の繊維等混ぜトロトロにして漉いた物が大量に作られる紙となり、日本やヨーロッパに伝わったものです。日本には大化の改新直前の610頃伝わり和紙が発達して行きました。それまでは日本でも木簡に文字を書いていました。
*パピルスの製法に似た物は現在のポリネシアのタパクロス(たて繊維、よこ繊維をベニア板の様に会わせる)にありますが、衣服、壁紙の様に使っています。
絹は土にかえるまで使って!
使い古した絹は裂織り、裂編にしても面白い物が出来ます、敷いて寝ると血行促進、体臭減、 床ずれ予防等の安眠素材となります。小さな物では傷口の上に置きバンドエイドなどすると傷の快復が促進されます。テーブル拭き等も雑菌の繁殖の少ない衛生布巾になります。最後は小さく刻んで植木鉢等に入れて土にかえしてください。
和服の再利用が面白い
和装地の洋服化は昨今では一般的になりましたが、そのまま洋服にするには色目が気になるという方に全体を泥染にすると、しっとり、高級感が出て人気沸騰!
ネクタイのベストなどもバラバラの色会が統一されて品の良い物になります。お試し下さい!
絹の糸の話し
繭から絹糸作る五つの方法
先人たちは野にある色々な繭を知恵を絞って糸にして来ました。その中でもカイコガ科の家蚕が最も糸が揚げやすく、5千年も前に昆虫の家畜化を成功させ、富岡製糸所に代表される様に絹糸が工場生産できる様になりました。家畜化されていない各種野蚕は繭の種類によっては紬(紡)糸しか採れないものもありますが、今でも糸揚げは熟練した人が1粒ずつ行なっています。
それでは繭からどの様にして糸をとって、どんな種類の糸が出来るのでしょうか。
生糸(きいと)
お湯の中で繭を煮て湯気と一緒に上がって来た糸口から1本の繊維を引出し(現代の繭から1500m)、それを何本か引き揃えた物が生糸といわれるものです。
生糸には表面にセリシンというニカワ質の蛋白質がついていて、乾燥するとガサガサして麻の様ですが、精練の仕方でシャリシャリにも柔らかくも千変万化させる事が出来ます。
生糸の糸の太さはデニールで表示されます。
1デニールは9000mの長さの糸が1gを言います。
21D(デニール)の糸は21中と表示されます。
蚕から吐糸される糸は吐きはじめは太くて次第に細くなるので、幾つかの繭を合わせて1本の糸にすると目視では分りませんが全体として不均なので「中」を付けます。
この表示は合成繊維など長繊維の全てに使われています。
玉糸
繭の基本は1頭が一つの繭を作りますが、時々二頭が一緒になって1粒の丸形をした大きな繭をつくります。これを玉繭と言います。
この繭からは2本の糸が絡んで節ができ、きれいな糸が揚げられません。この糸は玉糸とよばれシャンタン等の節のある絹織物に利用されて来ました。
以前豊橋はこの玉糸の産地でした。
真綿
玉繭や生糸を揚げるのに不適当な繭(大きさの揃わない、変形等)をアルカリ溶液などで処理して、セリシンを除いて柔らかくした繭を平板状に引き延ばしたものが真綿です。
本来「綿」いえば絹綿の事でしたが、絹より後に木綿の綿が一般的になり、木綿と区別する為に絹綿を「真綿」と云う様になりました。
真綿は昭和40頃までは全国どこでも布団地と綿の滑り止めと保温の為や、褞袍(どてら)の保温と綿切れ防止に使われてきて、現在もその事を知る人は大勢います。現在は紬糸に利用されています。
紬糸
真綿を引き伸ばしながら手でつむいだ糸や精練した屑繭から足踏み機などの道具を使って作った糸を紬糸と言います。
現在は織物の創作作家さんが緯糸に入れて一味付けるのに利用されたりしています。
生糸が正式な絹糸とされているので、紬糸は屑糸などが使われるため、どんな高価な品であっても正式な場所には着て行く事は控えた方がよいと言われます。
絹紡糸
生糸を製造する行程で出たくず糸や屑繭を精練して綿にし、長短不揃いな繊維を一定の長さにカットして機械で紡績した糸を絹紡糸と言います。
絹紡糸は精練の程度により、半練り、七部練り、本練りの区別があり、繊維長が長いものほど価格も高く、生糸に近い価格の物もあり、銘仙や富士絹にも使われました。
綿や麻などと混紡にも利用されています。絹紡糸の糸の太さは木綿などと同じ様に番手で表示されます。番手表示は重さを一定にしてその長さで糸の太さを表示するもので、デニールとは逆に数値の多いものほど細くなります。
絹の品質表示
絹の品質表示は上記のどの方法で作られても『絹』ですので、購入する時どの様な絹素材で作られたか、販売員に聞いてみる事も必要ですが、残念ながら専門店以外、店頭で的確に応対出来る所は殆どありません。また、洋装としての絹専門店も殆ど無いのが現状ですが、呉服屋さんが絹の知識は豊富です。
絹製品は生糸で作られた物が絹紡糸の物より高価な物が殆どです。しかし生糸で作られている物の方が絹紡糸の物より柔らかい様でどこかシャリ感があり、麻と間違えられる事が時々あります。絹紡糸はあまり腰がなく柔らかで、太番手の屑繭織物などは木綿に近い感触で、艶もありませんが、一般的にはシャリ感のない絹紡糸の方が柔らかいという絹のイメージに沿っているようです。
藍の生葉染め講習&お話
お話『貝紫と藍』by 山崎和樹 16:00~
4階レクチャールームにて
終了後先生もご一緒に暑気払いの会(別会場・インド料理)
2017 TREVI 夏のセール
8月3日(木)〜5日(土)11:00~19:00
2階 TEORIYAギャラリー
恒例のセールです!
冷えたマンゴジュースでお迎えいたします、掘り出し物を探しにいらして下さい。
That’s Welcome News No.2
モンシロ蝶はなぜひらひら舞うの?
「チョウチョチョウチョ菜の葉にとまれ、菜の葉にあいたら桜にとまれ—」と歌に謳われている蝶はモンシロチョウと思われます。モンシロチョウの食性は菜の花の様なアブラナ科の植物を好みます。かなり遠方からも空気の中に混じっている僅かな菜の花の匂いを嗅ぎ分けて移動するのです。空気の中の濃淡に混じる、より濃い匂いを頭部のセンサーでキャッチして、上に揚がったり、下に降りたりヒラヒラして目的場所に近づき、今度は黄色しか見えない複眼で菜の花に到ります。葉の強い匂いがあれば白い花にも集まります。ですから、匂いも色も違う桜の花には行けないのです。
古代より昆虫と哺乳類とは相携えるように今日まで進化して来ましたが、昆虫は人類など言うに及ばず犬さえ到底及ばない素晴らしい探臭機能性を持っています。昨今、国の研究機関や各大学にも昆虫機能研究部門が出来て来ました。この様な昆虫の優れた機能の遺伝子を人間に組み入れる事も近い将来可能になるでしょう。
*モンシロ蝶は春(やや小型)と秋に発生します。雄の方が少し濃い黄色です。
*モンシロ蝶によく似た黄蝶の仲間が色々いますが、食性が違いますので菜の花にはとまりません。
LEDの電球光は物が違った艶に見えます、身体によいのでしょうか?
省エネ推進で、従来のフィラメント電球からLED電球に変わろうとしています。
この電球は光の波長の巾が狭く目に刺激的です。太陽光のように短〜長の波長のミックスではありません。人は長い間太陽の光の中で物を見て判断する目が出来ています。
紫外線の様に波長の短い光は破壊力も大きいのです。
LED光のスマホばかり長期に見ていると、新たな眼病が現れるかも知れません。
絹(特にムガシルク)は波長巾の広いハロゲン電球を使うと、太陽光の中でしっかり遊んだ年配者はモンシロ蝶よろしく、集まって来ます。
他では見られない魅惑のムガシルクショール各種入荷。(繊維の中で最強の防紫外線性)
*来年1月インド、アッサム(ムガ・エリシルクの原産地)で国際野蚕学会開催予定。
That’s Welcome News No.1
オオミズアオに出会う
12月10日有楽町のジャパンシルクセンターで「絹まつり」をしている時、皇居から飛んで来たのでしょうか、 低い草の植込みの葉の上になんとも美しい見た事もない竜宮城からやって来たような蛾?蝶?がいるではありませんか!通行者も立ち止まり、道も通れないほどになってしまいましした、私(筆者)は「これはヤママユガ科で、北海道から九州の各地に生息し、バラ科、ブナ科、クルミ科、など広い食性を持つ『オオミズアオと云う蛾ですよ』と言うと、スマホで写真撮る人、名前をメモする人、会社に帰ってカメラを持って来る人、大盛況です。
ちょうど展示用のオオミズアオの薄い茶色の油紙の様な繭を持っていたので、それも皆さんにお見せすると、さらに盛り上がった事は言うまでもありません。殆どの蛾は女性には嫌われ者ですが、同じ蛾でも姿形が美しいと、もてることしきりでした。
*この成虫は年2回発生し、春に羽化した成虫から生まれた幼虫は樹上で葉を綴って繭を作りますが、夏に生まれた幼虫は餌植物から降り、落ち葉等を綴って繭を作り越冬します。非常によく似た蛾に尾の長いオナガミズアオがいます。
冬の里山散策の時、上記食性の樹木の下の枯れ葉を探索して繭を探すのも楽しみです。
野蚕の織物がペコペコ波打つわけ!
ムガ蚕やタサール蚕の生糸(紬糸ではありません)のテンションをかけた平織はアイロンした時は素直に艶やかな光沢を放ちながら平になりますが、湿度と温度が高い時ほど、暫くすると不規則な小さな凹凸ができます。
何故でしょう!その訳は絹糸を構成する縦に繋がっているアミノ酸の分子の繋がりに家蚕には見られないゆるみがあるからです。それがアイロンすると伸び、湿度と温度が加わると縮むのです。それを避けるには色々な方法があります。
悪い事ばかりではありません、緩衝性に富み、まさかの時護身してくれます。
野蚕は保、放温性、保、放湿性、防紫外線性、抗菌性等に優れた自然からの贈り物です。
最近の絹製品では健康用品が人気です。
柞蚕(野蚕)のマスク、腹巻き、シーツ(超人気)、エリ蚕のマフラー、ムガ蚕の金色ストール。
天蚕(野蚕)入りハンドクリーム。桑茶(高血圧の方にお勧め)。
夏のイヴェント
7月12日(水)〜18日(火)伊勢丹相模原店2Fギャラリースクエア
『エスニックフェア』
7月19日(水)〜25日(火)横浜髙島屋7階クリエイティブ工房
新シルクロードへの道・・長谷川千代ワイルドシルク作品展
7月26日(水)〜8月1日(火)立川髙島屋2階入り口
8月9日(水)〜15日(火)仙台三越
8月23日(水)〜29日(火)伊勢丹 立川店1階正面
絹の糸の構造
絹ってどんな繊維
絹は天然繊維の中で綿や麻の様なセルローズ系の繊維ではなく、ウールと同じような蛋白系のアミノ酸鎖で
出来た繊維です。その蛋白質も球状蛋白質ではなく真っすぐに連なる繊維状蛋白質で、セリシン、フィブロ
インという2種類から構成されています。他にロウ質、炭水化物などがほんの少々混じった特異な繊維です
絹の蛋白質
セリシンとフィブロインは同じ蛋白質でありながらアミノ酸の種類と結合の順序が違うので、物理的、化学
的、生理的機能の違いが生じます。
セリシンのアミノ酸組成はセリンが1/3で水と親しみやすいスレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸な
どで70%威以上を構成している水に溶けやすい成分です。フィブロインは分子量の小さいグリシン、アラニ
ン、セリンなどで占められているので強く縦に結びついていて強靭で伸縮性があります。
野蚕ではアラニンの方が多いといった違いがあり、蛋白質の結晶の化学構造も異なるので、強度や各種機能
性、染色性の違いが出て来ます。この事が染織家に野蚕染まらないと云われる所以です。
絹糸の構造
1本に見える絹糸は蚕の体内にある左右1対の絹糸腺から出された2本のフィブロインがセリシンで覆われ
たものです。
セリシンは水やアルカリに溶けやすい順に4層になってフィブロインを包んでいます。
その割合は繭の種類によって異なりますが、家蚕ではセリシンが20%〜30%,フィブロインが70% 〜80%で
す。セリシンを取り除く事を精練といって、きれいに精練すれば滑らかなシホン地の様になり、なん部練り
にするかでシャリ感が出てきたり、生地の風合いや感触が違って来ます。こうした加工の違いで絹が麻の様
にもなりフワフワ、スベスベの柔らかい繊維にもなるゆえんです。フィブロインは1000本のフィブリルの
束から出来ていて、さらにそのフィブリルは900本のミクロフィブリルから構成されており、ミクロフィブ
リルは350本の分子が縦に繋がって作られていて、それぞれが規則正しく縦方向に並んだ結晶領域と不規則
な並び方の非結晶領域が4:6の割合で出来たものです。
これが絹の性質を決定づけている大きな要因です。結晶部分の分子は強く引き合い、凝縮しようとするの
で引っ張る力には鋼鉄より強いといわれ、弾力性に富んでいます。
非結晶部分は分子の並びがアットランダムなので伸縮性があり柔らかく、不規則の分子の間に水分も多く吸
収で絹を着て暫くすると体が温まるという保温効果(空気を含むというもう一つの理由もある)を発揮し、
一定の湿度を吸収すると放湿を始めるという溜池的な機能を果たしています。放湿の時発生する気化熱は上
がり過ぎた温度をさますという役割を果たしています。
この様なわけで絹を着用すると品よくほのかに暖かく、蒸れなくてべとつかなく、気持ちがよいというわけ
です。
こうした絹を構成する分子の幾種類もの親水基は絹の優れた染色性にも寄与しています。
この様な糸の構造は繰り返し摩擦が加わると、フィブロインが竹を割った様に裂かれフィブリルが枝毛にな
って現れます、更に摩擦が繰り返されるともっと細いミクロフィブリルも裂けて湯気の様な繊毛を発生させ
ます。ですから、絹のもみ洗いは避けて下さいという理由です。
また、シャリットしたセリシンが多く含まれた絹を洗う時はセリシンがニカワ質的蛋白質なので高温で洗濯
をすると親水性と相まって水に溶け出してしまいます。絹を長持ちさせるためには30℃以下の水で洗濯する
とよいといわれるわけです。
貝紫ツアー報告会・ラオスの布の話し
6月17日(土)15:00〜16:30
会場: 当ビル4F,レクチャールーム
参加費:会員無料 会員外 ¥2000
貝紫ツアーの作品をお見せしながら報告会です。
2004年よりラオスに滞在し、少数民族の染織を研究なさっている 前川佐知さんのお話もとても楽しみです。
静岡展
6月21日(水)〜27日(火)10:00〜19:00(最終日16:00)
恒例の静岡伊勢丹の展示会です。会場は6Fアートサロンになりました。今年も静岡のコットン仲間たちとのコラボです。
物作りの楽しさを実演で見て頂きたいと思います。指物家具の同級生(株)吉蔵の家具もご一緒します。
会場内にて 各日13:30〜
お話:6/22(木)絹と健康 今泉雅勝
6/24(土)サリーの文化と着方・実演 長谷川千代
6/25(日)手紡ぎ・実演 棉工房なづき 柳ゆみ子
6/26(月) 織・実演 YUTORI 稲垣有里
*ガラ紡機は連日稼働しています。
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