絹の枕を作る

2020-03-09

絹枕使用体感

先日、絹から高血糖値を下げるサプリメントを作って

いる会社から絹の残綿の有効利用はないかと相談を受け、

早速、絹の複数の糸商社にサンプルを送り、検討を依頼

しましたが、繭の形をした部分や真綿状の所、一部に糸

が切断された箇所も有り、繊維長も短く、桑葉の小片、

草木の小枝なども混入し、通常の真綿の状態ではないの

で、精練やカードなど、手間をかけても歩留まりも悪く、

一般的な絹紡糸を作る事は不可能な事が判りました。

そこで手間をかけずにゴミを取り除くだけの中綿絹100

%で、シーツ用エリ蚕の生地をカバーにした素朴な枕を

試作して使ってみました。

頭を枕に乗せるとフワっと耳の近くまで周りの綿が盛り

上がり、それでいて頭の着枕部分はそれほど沈まず、綿

が分かれず、柔らかーい暖かさに包まれ、その暖かさは

耳の下から喉を伝わり肩まで包み込んでくれます、その

感触の良さは筆舌し難いものがありました。深い眠りに

つけた事はいうまでもありません。半年来右肩の凝りが

ひどくなり、うっとうしい毎日が続いていましたが、翌

朝、肩こりが消えているのにビックリ。身体の動きも何

となく軽やかに感じたのです。常に野蚕絹のシーツと下

着上下を着て寝ていて、絹の肌触りには慣れていると思

っていましたが、また新たな絹の感触と機能性の恩恵に

出会いました。

絹と活性酸素

今まで絹は薄く使われて来ましたが、上記の枕の様に

あまり加工を施さず、厚く使う事で絹が人体にどの様な

機能性を発揮するのか調べてみる必要を痛感しました。

絹は保温、保湿効果により血行促進をする事はよく知

られていますが、それだけではこの劇的な肩こり解消は

説明出来ません。

家蚕絹フィブロイン(通常の糸に使う部分)は18種類

の必須アミノ酸で構成されていますが、その中に0.2%

のシスチン、0.1%のメチオニンが含まれ、それが毒性の

強い活性酸素の電子を吸着して中和する働きをし、12.1

%含まれるセリンにはその電子を受け取る補助をする性

質があり、この作用が肩こりを癒してくれる一因だろう

と考えました。

活性酸素とは

大気中に含まれる酸素分子がより反応性の高い化合物

に変化した分子や元素の電子などの量子をいいます。

人はこれがないと生きて行けませんが、過剰になると毒

性が強なる電磁波を中和しなければ老化や様々な病気や

癌の要因になると考えられています。

活性酸素の毒性を中和する物の中には緑黄野菜や魚介類

に多く含まれるビタミンCE、カルチノイド、ホリフ

ェノールなどの抗酸化物質が有ります。

ところが最近ハウス野菜や養魚などには露地物に比べて

抗酸化物質が少なく(推定露地物の1/4)、かなりの量を

摂取しなければ癌などの抑制になりません。ハウス野菜

を4倍も食べる事は出来ませんので活性酸素を中和しき

れていない事が癌をはじめ様々な病気の多発の大きな要

因と思われます。

9種類ある活性酸素の中には食品や人が持つ酵素では中

和出来ない物が有り、前述の絹のアミノ酸はそれを少し

でも中和しますので癌予防や防放射能にも役立と思われ

ます。

絹糸昆虫の進化

昆虫と哺乳類は恐竜時代を過ぎると相互にめざましい

発展を遂げて来ましたが、絹糸昆虫は限られた葉のみを

食べているのに活性酸素から身を守るアミノ酸を得る事

に成功しました。その他、この事と似た特異な機能とし

て、糸の中に吸収された紫外線を無害な波長に変えて、

DNAの異変を阻止する機能も取得しています。

人類は多様な食性により、過多となった活性酸素に対抗

して来ましたが、どちらの選択が長い生存競争に勝てる

のでしょうか。

近代の人工的食料生産は健康な人類の将来を危うくさせ

ないか心配です。

絹を着ると気持ちが良い

絹を着るとサラットとして寒からず暑からず気持ちが

良いのは、細い繊維間に空気が沢山含まれるのと、アミ

ノ酸蛋白の構成由来からオキシトシンやセロトニンの様

な幸せホルモンが分泌されるので壮快さを感ずるのです。

絹にほんの少ししか含まれていない一部の蛋白質が活性

酸素の増加を抑制して、その毒性を中和すると考えると

絹の機能性の説明が明瞭になります。

そう考えると絹を着たり食べたりすると、手などが震え

るパーキンソン病などにも効果が有ると言えるでしょう。

絹の機能性研究をもっと深め、新たな絹の利活用に取り

組まなければならないと思いました。

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