今泉の絹の話

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絹の糸の話し

繭から絹糸作る五つの方法

先人たちは野にある色々な繭を知恵を絞って糸にして来ました。その中でもカイコガ科の家蚕が最も糸が揚げやすく、5千年も前に昆虫の家畜化を成功させ、富岡製糸所に代表される様に絹糸が工場生産できる様になりました。家畜化されていない各種野蚕は繭の種類によっては紬(紡)糸しか採れないものもありますが、今でも糸揚げは熟練した人が1粒ずつ行なっています。

それでは繭からどの様にして糸をとって、どんな種類の糸が出来るのでしょうか。

生糸(きいと)

お湯の中で繭を煮て湯気と一緒に上がって来た糸口から1本の繊維を引出し(現代の繭から1500m)、それを何本か引き揃えた物が生糸といわれるものです。

生糸には表面にセリシンというニカワ質の蛋白質がついていて、乾燥するとガサガサして麻の様ですが、精練の仕方でシャリシャリにも柔らかくも千変万化させる事が出来ます。

生糸の糸の太さはデニールで表示されます。

1デニールは9000mの長さの糸が1gを言います。

21D(デニール)の糸は21中と表示されます。

蚕から吐糸される糸は吐きはじめは太くて次第に細くなるので、幾つかの繭を合わせて1本の糸にすると目視では分りませんが全体として不均なので「中」を付けます。

この表示は合成繊維など長繊維の全てに使われています。

玉糸

繭の基本は1頭が一つの繭を作りますが、時々二頭が一緒になって1粒の丸形をした大きな繭をつくります。これを玉繭と言います。

この繭からは2本の糸が絡んで節ができ、きれいな糸が揚げられません。この糸は玉糸とよばれシャンタン等の節のある絹織物に利用されて来ました。

以前豊橋はこの玉糸の産地でした。

真綿

玉繭や生糸を揚げるのに不適当な繭(大きさの揃わない、変形等)をアルカリ溶液などで処理して、セリシンを除いて柔らかくした繭を平板状に引き延ばしたものが真綿です。

本来「綿」いえば絹綿の事でしたが、絹より後に木綿の綿が一般的になり、木綿と区別する為に絹綿を「真綿」と云う様になりました。

真綿は昭和40頃までは全国どこでも布団地と綿の滑り止めと保温の為や、褞袍(どてら)の保温と綿切れ防止に使われてきて、現在もその事を知る人は大勢います。現在は紬糸に利用されています。

紬糸

真綿を引き伸ばしながら手でつむいだ糸や精練した屑繭から足踏み機などの道具を使って作った糸を紬糸と言います。

現在は織物の創作作家さんが緯糸に入れて一味付けるのに利用されたりしています。

生糸が正式な絹糸とされているので、紬糸は屑糸などが使われるため、どんな高価な品であっても正式な場所には着て行く事は控えた方がよいと言われます。

絹紡糸

生糸を製造する行程で出たくず糸や屑繭を精練して綿にし、長短不揃いな繊維を一定の長さにカットして機械で紡績した糸を絹紡糸と言います。

絹紡糸は精練の程度により、半練り、七部練り、本練りの区別があり、繊維長が長いものほど価格も高く、生糸に近い価格の物もあり、銘仙や富士絹にも使われました。

綿や麻などと混紡にも利用されています。絹紡糸の糸の太さは木綿などと同じ様に番手で表示されます。番手表示は重さを一定にしてその長さで糸の太さを表示するもので、デニールとは逆に数値の多いものほど細くなります。

絹の品質表示

絹の品質表示は上記のどの方法で作られても『絹』ですので、購入する時どの様な絹素材で作られたか、販売員に聞いてみる事も必要ですが、残念ながら専門店以外、店頭で的確に応対出来る所は殆どありません。また、洋装としての絹専門店も殆ど無いのが現状ですが、呉服屋さんが絹の知識は豊富です。

絹製品は生糸で作られた物が絹紡糸の物より高価な物が殆どです。しかし生糸で作られている物の方が絹紡糸の物より柔らかい様でどこかシャリ感があり、麻と間違えられる事が時々あります。絹紡糸はあまり腰がなく柔らかで、太番手の屑繭織物などは木綿に近い感触で、艶もありませんが、一般的にはシャリ感のない絹紡糸の方が柔らかいという絹のイメージに沿っているようです。

 

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